姫 (ヒスイによせて)

 越の国の姫と言えば、古事記から沼河比売(ぬなかわひめ、越の国の女神.奴奈川姫と書く場合もある)とヒスイのお話がでてきます。この地、雨晴からの絶景は大伴家持も「見れども飽かず 神からならし」とか「月夜飽くてむ 馬しまし停め」とあきれて歌に詠むほど、きっと沼河比売も愛でたことでしょう。

ちなみに富山湾の沖合の地下100キロメートルくらいにはヒスイの大鉱床が眠っていると言われています。
 500℃程度でゆっくり冷える蛇紋岩層のそばで結晶したのがヒスイです。富山湾沖はこの適地だと言われています。でも地球上で最も深い鉱山でも地下数キロメートルですからひと山あてようと掘るには難儀でしょうが。

 ところで、よく中国物産展などで布袋様をほった緑の石を「ヒスイ」という場合がありますがあれは軟玉(ネフライト)。ヒスイとは別物です。もしあんな深緑のヒスイ(ジェダイト)があれば何億円もするはず。で、ヒスイの堅さをご存じですか。硬度約7.5、これはナイフの鋼より堅いんです。ダイヤモンドをまぶしたカッターでしか切れない、減らない石を砂岩だけで磨き上げた縄文人には感心します。
 大陸文化が入った弥生時代や古墳時代にはあまりの堅さに加工性が悪く、使わなくなったヒスイです。古くから世界中でひすい(硬玉)を使用した文化圏は日本とメソアメリカの二つしかなかったのもうなずけます。気の長い民族にしか加工できないのかもしれません。